
奥の細道句抄絵 五月雨をあつめて早し最上川

奥の細道句抄絵 荒海や佐渡に横たふ天の河

奥の細道句抄絵 笠島はいづこさつきのぬかり道

奥の細道句抄絵 象潟や雨に西施がねぶの花

奥の細道句抄絵 暑き日を海にいれたり最上川

奥の細道句抄絵 あかあかと日は難面もあきの風

奥の細道句抄絵 田一枚植ゑて立ち去る柳かな

奥の細道句抄絵 浪の間や小貝にまじる萩の塵

奥の細道句抄絵 まゆはきを俤にして紅粉の花

『パリのおのぼりさん』:(16)ダゲレオタイプの肖像写真「さあ、これぞ太陽が生んだ傑作・・・、どうです、この色つやは、ふむ?・・・この温もりは・・・これがみんな3秒間のできごとなんですぞ!」「ま、そりゃそうだけど・・・、これじゃわたしが3秒しかお天道さまに照らされなかったとはとうてい思えないよ・・・。なんだか3年くらい日干しになってたみたいだな。だってほんとの黒人みたいにみえるじゃないか・・・。ま、いいや。これはこれでなかなかいい肖像だよ、かみさんもさぞ喜ぶだろう!・・・」

新たなる聖アントニウスの誘惑 ちょうどまさにこんなときに、ヴェロンという名の偉大なる巨漢の罪人が、神の恩寵にふれたと思い込んだのだった。新聞稼業は神父生活みたいなもんだった、と顧みて彼は隠者になり、モンマルトルの険しい山また山の懐にある荒れ地へと引きこもった。そこで彼は昼夜を問わずお祈り三昧をつづけて、悔悛のしるしに『コンスティテューショネル』の定期購読者名簿を再読しつづけるという苦行をみずからに課したのだった─食べ物といえばルニョーの練り薬だけで、それもヴェロンはごくたまに、ほんのちょっぴり口にしただけだった。─悪魔は、このいかにもいい子ぶった、思いもよらない宗旨変えにいらいらして、聖ヴェロンを誘惑して屈服させるのに手を変え品を変えしてみたのだが、われらが気高き修道士は、このところ自分にとってずいぶんと魅力的に映っていたいろんなものに、あっぱれ抗う術を心得ていたのだった。みずからヴェロン誘惑に乗り出し『コンスティテューショネル』となってやってきた大魔王サタンは、パリへ戻る道すがら怒り狂っていたらしい。─モンマルトルの隠者は爾来もっとも偉大なる聖人に列せられ、パリジャンの報道関係者の誉れとなって、とくに鼻風邪をひいた不運な人々の嘆願を受けている
登録日: 2023-01-17
