
『古代史』:(25)愛に参ったヘラクレス 連戦連勝で突っ走る、このいたずら小僧、愛の神さまにゃ/みんなへいへい這いつくばるよ、王さま、牛飼い、勇者に代議士/ヘラクレスさえフラフラと、天下にとどろく武勲から、おっと寄り道、暗い道/オンファレさまのおみ足に、でれでれと、がんじがらめになっちゃった(ソーゼ氏の戯れ歌)

『古代史』:(46)グラックス兄弟の肝っ玉かあさん ある日ちゃらちゃらした女がひとり、面の皮厚く/彼女にちっぽけな宝石アクセサリーみせて、鼻高々/すると祖国の希望たる、ふたりの息子をみせながら/このローマの肝っ玉かあさんは言ったのさ「あたしのかけがえのないお宝は、こいつらさ!!」(プルタルコス)

『古代史』:(49)サッフォーの死 娘っ子たち、よくごらん、愛ってヤツがいったいどこへあたしらひっぱってくか!/あたしらのかわゆいアンヨの下に、あのチンピラ、底知れぬ穴、堀りまくり/そら、みなまっさかさまに転げ込む、お楽しみはいつだって、暗い道へとまっしぐら/あっという間にどんづまり(エステルお嬢の『お道徳詩集』)

『古代史』:(41)愛の矢に射抜かれたヒッポリュトス 運命の日からこのかたずっと、このものすごい狩人は/鉄砲捨てて、なつかしい、ちっちゃな縦笛手にとった/うち震える心のうちをしみじみと、ほとばしらせていたらば、ひょっこり/そこへウサギが跳んで出て、なんだこんなヤツこわくねぇ、ガブリかじったふくらはぎ(ラシーヌの『フェードル』異本)

『古代史』:(19)アルキビアデスの若かりし頃 このカッコイイ伊達男、ギンギラギンの、花の後光に包まれて/堂々たる美丈夫で、みめうるわしく勇ましく、とまあ、そんなふうにみえたんだけど/ある日、陰口たたく者どもに、いっぱい食わせてやろうかと/なぜか自分のワンちゃんの、だいじなシッポをちょんぎった、ア、切レタ、あきれた(テオフィル・ゴーティエ氏のギリシャ風物語詩)

『古代史』:(44)アナクレオンの死 チーズと洋ナシたらふく詰め込む合間にも、暇さえあれば/この愛の詩人さんたら一杯やっては、はしゃぎまわってた/なのにお楽しみの真っ最中、食いあわせの悪い種1粒がね/もろに当たって、パン味わってる暇なくなりましたとさ(ボシュエの『愚作集』)

『古代史』:(32)ぐっと男らしくなったテレマコス あんまりずーっと長いこと、姫さま命でいたけれど/ある日とうとう断ち切った、みじめな腐ったこの鎖/さあ、この若きヒーローは、美しく、元気はつらつ、でっかくて、丸ぽちゃ・・・おりこうさん/言ってくれたよ、お師匠さんはうれしいぞ、じゃ探しに行こっか、パパを、って(フェヌロン、第12巻)

『古代史』:(33)アリオンの救出 1匹の物好き、おっきなおサカナ、そこにイルカな、そのおかげ/この歌手は、鈴をふるよな声これ幸い、やれ助かった、よかったね/オペラ座あたりでふんぞりカエル、なみいるなみの歌い手さんにゃ/ちなみにおんなじ大波小波、世の荒波にもまれても/小エビ1匹集まらねぇ、アンチョビっとの涙も出ねぇ(ベルリオーズ氏のとある新聞音楽批評覧から、抜粋)

『古代史』:(11)ダモクレスの剣 おまえさんも、今日という日にゃ、グズグズこぼすまいて/夕飯をいただくのにナイフもナイんで、なんてねぇ、と愛想良く僭主はのたまった/いや、まったく!とダモクレス、もしこれが、シャレなんかのおつもりでしたら/わたしゃ、こんな切り口の鋭い皮肉じゃ、たとえヒレ肉でも食えん、と言いたいとこで(アカデミー会員たるパタン氏の、アカデミーっぽい表題文)

『古代史』:(9)アキレウスの養育 きびしいケイロン先生は、毎朝毎朝/休みなく、反抗的な生徒を苦しめる/あーあ!こういう先生たちが、若い子の頭をうんざりさせちゃうんだよね/だって、まちがいないなんてことはありえないよ、なんせ超-半獣なんだから!(『イーリアス』より、パタン氏の哲学じみた訳)

『古代史』:(37)タンタロスの責め苦 やれやれ!ひとりじゃないぜ、おれたちゃみんな花の青春どまんなか/鼻先かすめ、あれやこれやのお楽しみ、通り過ぎてくの、みてるだけ/おくちパクパク、歯ぎしりしきり、これじゃまったくさんざんだ/いじめられてるタンタロス/ほしいものには食いつけず(サント=ブーヴ氏の『耐え忍ぶ』より)

『古代史』:(17)冥界のアエネアス あな、おそろしや!彼はふいに、深く愛してくれた女をみつける/匕口を胸に突き立てたまま、両の眼には千々に乱れる思いを宿したその女を/かわいげのある、ためらいがちなウラメシヤーのしぐさで、その女は/無言で彼に語りかける「おなつかしや、いとしき殿、てなわけねぇだろ、このやろー!」(『アエネイス』より、トロニョン氏の訳)

『古代史』:(5)アマゾン族 日の光の射しそめる頃、彼女らの気高き女王の御前で/みなが荒馬をゆうゆう乗りこなしているのがみえよう/そして若き勝利者が、砂をまき散らした円戯場のまんなかで/リストのごとく、ひと振りの栄えある大太刀を授けられたのが(その名も同じ大河アマゾンよりいでし4行詩)

『古代史』:(48)ヴェルギリウスの牛飼いたち―耳にタコができるほど知れ渡った唄―こんなよい子たち、イタリアっ子のかわいいおチビさんたちが/ほらこんな具合に、口々にほめそやす/木々や、連なる丘また丘や、緑の牧場/それからそれをみんなくれた、あのなつかしい、心の広いお空を(F・ベラ氏の作詞・作曲)

『古代史』:(45)エンデュミオン 穏やかな夕暮どき、かぐわしい木陰で彼ぐうぐう寝てたら/あの頃、まだうら若かったお月さんが、ぞっこん一目ぼれ/皓々と、月光の指先で、そっと投げキス/甘やかな接吻を、彼の神々しいお顔に(ジロデ『遺作』)

『古代史』:(8)アガメムノンの怒り 王のなかの王は、たぎりたつ怒りに、空しく声を嗄らしつつ/どうにもこうにも書くに書けないお言葉で、口をきわめて罵った/アキレウスはといえば、きく耳持たず、日なが一日浜辺に坐り/プリセイスを思っては涙に暮れた、カワハゼなんぞ釣りながら

『古代史』:(12)ご機嫌な卜占官たちの出会い 卜占官の先生がたは、ちょっとおしゃべりなんて、そばへも寄れない/みんな吹きまくってるウソ八百に、ぷっと思わず吹き出さずには/だけど、われらがペテン師の、ダイギシ先生やらオエラガタったら/いつも重々しくも、まじめくさって、しかめっ面でにらめっこ(ヴィエネ『新・寓話』)

『古代史』:(10)アスパシアの館でのソクラテス 酒と娘っ子たちがめっぽう好きな/ソクラテス、夕飯食ったら腹いっぱい、ひょいと叡知を脱ぎ捨てて/人足姿そのままに、かわいい浮かれ女んとこへすたこらさっさ/足どり軽くカンカン踊り、手とり足とりちょいとつま弾いた(ヴァトゥー氏の狂歌)

『古代史』:(29)テレマコスとメントール やつれ惚けた、だいじな若さまみるにつけ/姫への想いはどんどんつのってくるわい、身を焦がしてるわい、こりゃいかん/そこでご隠居、拳固ふりあげどやしつけ、思いっきり放り込んだよ水んなか/このバカもんに、妖精の島出て行かしょうと(デュポンシェル氏のただひとつの、すぐれものの4行詩)

『古代史』:(16)アリアドネの糸 ヘソ曲りでもないかぎり、戦士たる者、行軍するときにゃいつも/ちゃんと部隊の先頭きってゆくんだい/ところがどっこい王の血をひくテセウスは/糸玉ころころ転がして、あとをてくてく歩いてく、もつれた物事かたづけながら(キュヴリエ=フルーリ氏の教訓談)

『古代史』:(27)愛にやつれたテレマコス お目付役がたえまなく、ガミガミ言うのも、どこ吹く風/朝ごと彼はフラフラと、花々を生け捕りに、摘みにゆく/もっと輝くよなピッカピカの花ないか、かわゆいあの子に/あげるんだ、あのゾクゾクするよな、じゃじゃ馬娘が/ピラピラした襟のした、喉もとにちんまり飾る花なんだ(アルフレッド・ド・ミュッセ氏のタバコ)

『古代史』:(7)オデュッセウスの帰還 宮殿の門口で、忠犬ムク公が/竹馬の友のなかでただ1匹、はたと彼を認め/そこにいた、げに妙なる本能よ!深皿くわえて/権謀術数盛って、オデュッセウスのおそばに控えんと(『オデュッセイア』より、ヴァトゥー氏の狂歌)

『古代史』:(7)オデュッセウスの帰還 宮殿の門口で、忠犬ムク公が/竹馬の友のなかでただ1匹、はたと彼を認め/そこにいた、げに妙なる本能よ!深皿くわえて/権謀術数盛って、オデュッセウスのおそばに控えんと(『オデュッセイア』より、ヴァトゥー氏の狂歌)

『古代史』:(35)カルタゴのマリウス 兵士よ、元老院に伝えてよ、われ落ちぶれてなお誇り高く/瓦礫の山に鎮座ましますと/もしスラのもとにありても/そこにゃ坐りすらしねぇと(クーザン氏の作とされる語呂合せ)
登録日: 2023-01-17
