金属器によるカットマークのあるヒグマ右尺骨

頭蓋骨のある紋章

春の短い期間だけ実をつける野いちごが店頭にあふれる

(左)山の向こうの中腹のちっぽけな村はすでに見えなくなり、ふたたび春が巡ってきた。葡萄の木はあたかも塀の笠石の下を匍う病める大蛇のように見える。生あたたかい空気のなかを褐色の光が動きまわっていた。似たりよったりの毎日が作りだす空白は伐り残した若木まで切り倒すだろう。日々の暮らしのなかで樹木の茂みは岩のように突き出ている。 (右)自分の暮らした村がこんなに小さく思われたことはない。太陽が姿をみせた。背の高いポプラの林は風に吹き動かされる砂浜のような格好をしている。切れ目のないその連続を見ているだけで眼がくらんでくる。変り映えしない日々の連続に酔うことができたなら象や蛇をしとめた気にもなれる。蝶が舞うようにそんな風に彼はものを識ったのである。

『できごと』:(145)ヨーロッパの新聞記者風情が畏れ多くも陛下の行政行為をあれこれ論評しやがったのを知ったスルーケ皇帝は、そのとんでもねえ野郎をふんづかまえにやって来て、煮えたぎったタールをどっぷり入れた釜ん中へぶち込んでやったとさ─それってのもこのへぼ文士にちょいとお灸を据えてやって、皇帝陛下にたてつく記事なんかもう決して書こうと思わないように土性骨を叩き直してやろうって親心からなんだからな(ハイチ公報) (『シャリヴァリ』による覚え書)「報道の偏りにくつわをかませるこの独創性に富んだやりかたは、古代の偏屈な守護地頭の精神修養なんかにもいいんじゃないかな」
最終更新日: 2022-01-15
登録日: 2022-07-29